STAY HOME 〜不安と恐怖。ストレスと苦悩。 それらと「戦う」ことはしないで〜
心理学コミュニケーターの都竹悦子さん[vol.2]

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 たった数か月間で起こった、あまりにも大きな変化。これからいつまで続くのか、見えない未来。毎日抱える不安の中で、子どもたちこそが宝物だという当たり前のことに改めて気づかされます。

どんな形でも、人とのつながり方を増やそう。

今まで直接会えていたママ友との交流。今まではランチでもしながら、子ども同士も自分たちも交流できていたのに、SNSなどでの連絡のみになったという方がほとんどではないでしょうか。だからこそ、どんな形でも接点を増やす努力をすることはオススメ。意外と様々なやり方があるものだと驚きます。

例えば今友人の勧めで、〝玄関先に本を置いていくという交換方法〟で絵本の貸し借りをしています。大人用の雑誌や書籍の交換もついでにやってみると、選ばれた本から個性もにじみ出ていて、とても楽しい。子どもと作ってみて美味しかったお菓子のレシピメモの交換も。今、図書館も閉館している中、「同じ絵本ばかりでは子どもたちが飽きてしまう」という悩みも解決されますよね。

今までのやり方は、いったん忘れよう。 〜お弁当と消毒ハンドジェル〜

ママならではの悩みは、解決方法を見つけるのもママ自身。家の中での食事ばかりでは自分も飽きてしまうので、同じリビングで食べるにしてもランチは〝お弁当〟にしている、という友人がいます。たったそれだけで随分と楽しくなるのだとか。可愛いスティックで彩れば、子どもたちも野菜を残さず食べられる。お弁当箱に詰める係りを決めて、日替わりで分担するのも面白い。これからの季節は、ベランダで食べても楽しいですよね。もし一畳分くらいのベランダでも、まるでツリーハウスの秘密基地のように子どもにとってみればワクワクのランチになるはず。

また、〝消毒ハンドジェル〟もエタノールも売っていない時には、強いウォッカで作れるという情報をママ友と共有しました。材料はウォッカ、キサンタンガム、グリセリンだけ。もちろん、糖質が含まれるアルコールでは、完璧な消毒ジェルとは言えないのかもしれません。でも、無いよりはマシ。作ったことで、無い状態よりは安心できた。これもまた、ストレスを軽減させるための重要な行動パターンなのではないかと思います。

完全な解決方法ではなくても、「マシ」でOK。

今のような、未曾有の事態に直面した際には、「今まで」にしがみつくことも、「理想」が叶わないと文句を言うことも、プラスには働きませんよね。文句を言うだけで終わっていては、ストレスは増すばかり。完全な解決方法ではなくても、「マシ」でOK。その考え方こそ、ストレス耐性そのものなのではないでしょうか。

普通の日常なら存在しなかった新しい悩みも出てきています。自宅学習のやり方、運動の取り入れ方、子どもが喜ぶ家での遊び、ママが自分の時間を作るための工夫。みんながきっと、多かれ少なかれ悩んで、どうにか解決しようと毎日を過ごしている。だからこそ、「私はこうして過ごしているよ」「あなたはどう?」そんなママ友との会話の中に、きっとどんな悩みでも解決のヒントが見つかるはずです。三人寄れば文殊の知恵!

子どもにとって安心できる存在でいることが、自分の強さになっていく。

ママが笑っていれば、子どもは安心できます。それが一番大切。赤ちゃんでも、生後2ヶ月から「笑顔」を認識できるとも言われています。そして、子どもが笑顔でいてくれるとこちらもホッと癒されますよね。ママが不安な顔をしていたら、子どもも不安になる。不安だから、もっと甘えたくなる。かまってほしくなる。そんな子どもの姿に、つい苛立ってしまう。ママがイライラした様子だと、今度は子どもが委縮してしまう。

怖い話ですが、委縮してくれていた方が言うなりになってくれて楽だからとDVも生まれている現実も存在します。暴力とまではいかないまでも、脅したり怒鳴ったりするやり方しか「大人だって限界なの」と伝える方法を知らない人も意外と多いんですね。悪循環の中で生活するか、好循環に持っていくかは、ママの笑顔次第。いつでも好循環への第一歩は、踏み出せます。

今、外出自粛を「思ったより大変だ」と感じる方と、逆に「意外と大丈夫」と感じる方にくっきりと分かれている気がしています。これは日頃の職務内容や本人の資質である順応性の要素もあり、一概には言えないことではありますが、ストレスに悩まされる人に共通しているのは、「頑張りすぎている」ということではないかと思います。非日常に精一杯頑張って耐えている、ということ。力を現時点で100パーセント出し切ってしまっている。

これから、いつまで現在のような状況が続くのか分からない。また、新型コロナウイルスに万が一家族や自分が感染してしまう可能性もゼロではない。様々な予測が生まれる中で、それらに今後対応していくためには、現時点で70パーセントの力で充分すぎるほどなのではないでしょうか。


命にかかわる恐怖の中で、余力がないことほど苦しいことはありません。
「良い」お母さんになろうとしないでください。
「しあわせな」お母さんになりましょう。

それが目の前の大切な宝物を守る、大きな力になるはずだから。

 

★ PROFILE


都竹 悦子 (つづく えつこ): ナレーター、司会者、心理学コミュニケーター

2000年、ZIP-FM ミュージックナビゲーターコンテストで準グランプリを受賞し、翌年デビュー。2015年まで14年間ミュージックナビゲーターとして活躍。落ち着いたトーンの語り口、心温まるナレーションが人気のナレーターでもある。2014年、NPO法人日本次世代育成支援協会認定心理カウンセラーに。2015年からは、心理学と自身の経験を元に「子育て」「恋愛」「コミュニケーション」をテーマ にした講演活動、執筆活動もスタート。プライベートでは、2児のママとして子育て奮闘中!

◆所属事務所:パスト・プレゼント・フューチャー
https://ppfppf.com/etsuko-tsuzuku/
◆都竹悦子オフィシャルサイト
http://etsuko-tsuzuku.com/

都竹悦子さんの記事[vol.1]はこちら

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