ゆき先生に聞いてみた!
ホームケアで大事なことって何ですか?

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Q1. 虫歯予防で気をつけることは?

一番大切なのは食事習慣です。しっかり噛んで食べると口内を洗浄してくれる唾液がたくさん出ます。また、2時間以上、食べたり、飲んだりしない時間を作ることも大切です。人は飲食の後、口の中が酸性に傾いてしまうんです。ただ、だいたい2時間ぐらいすると、唾液の力などによって、自然と元の状態に戻っていきます。ダラダラ食べがよくないのは、常に口の中に食べカスが残り、歯垢を作り、歯を溶かすミュータンス菌などの増殖の餌になるからです。

まずホームケアとしては、食後にお茶や水で口をすすぎ、口の中に食べカスを残さない習慣を作りましょう。子どもの場合は、唾液の量が多いので、汚れを洗い流し、自然と口の中を良い状態に保ってくれます。実際、虫歯ができにくいお子さんは、唾液が多いと言われています。唾液を多く出すために、自分の歯でしっかりよく噛んで食べ、よく笑い、よく喋ることで唾液腺を刺激しておきましょう。

Q2. 効果的な歯磨きのやり方は?

食べた後は口の中が酸性となり歯が溶けやすい状態になっています。歯を傷つけないためには、少し時間を置いてから歯磨きをするのがおすすめです。また、フロスを歯磨きの後にする人が多いようですが、これは逆です。まず、歯のすき間にはさまった汚れを取り、その後で表面の汚れを落としていきます。最近ではイチゴ味やグレープ味のフロスも出ているので、お子さんと楽しみながら、1日1回はフロス習慣を作りましょう。

一番大切な歯磨きタイムは寝る前です。寝ている間は、唾液の量が減り、口内が渇きやすく、虫歯菌が活性化してしまいます。昼間は、お茶を飲んだり、喋ったり、唾液がたくさん出ているので、歯磨きを忘れてもそれほど気にしなくて大丈夫です。最近ではきちんとした食事習慣で、よく噛んで唾液をしっかり出していれば、歯磨きをしなくても虫歯になりにくという研究があるほどです。

Q3. 歯磨きが嫌いな子どもはどうすればいい?

歯磨きを嫌がる子は、「歯磨きは痛い」と感じていることが多いようです。お母さんが動かないように押さえて歯磨きをすると、強すぎて、歯茎を傷つけてしまう場合もあります。歯磨きはゴシゴシではなく、完熟した桃の皮がむけるぐらいのゆるい力でやるのがベスト。お風呂タイムなどでリラックスしながら、力を入れずにやってみてください。使用する歯ブラシも、小さい子どもの喉につかえないように、柄の部分がやわらかく、角度が曲がるものが販売されています。

歯のケアは、歯が生え始めた0歳児からスタート。ミルクも虫歯になりますので、飲んだ後はガーゼで拭いてあげましょう。また、ミルクの後、麦茶などを飲ませるのも効果的です。最近では、赤ちゃん用の加えさせておくタイプの歯ブラシも出ています。歯が生えそろう3歳ぐらいからは、しっかり仕上げ磨きが大切です。お母さんの仕上げは、特に男の子の場合、小学校の高学年ぐらいまで続けてほしい習慣です。

Q4. ケア商品はどんなものを選べば良いですか?

2023年の4月から、子どもの使用できるフッ素の濃度が、1000ppmまで使えるようになりました。1日3回、歯を磨かなくても、1日1回、フッ素の入った歯磨き粉でしっかり磨くことで、歯を強くし、歯の再生化にもつながります。フッ素を嫌う方もいますが、フッ素は薬剤ではなく、味噌や塩、海藻や魚や野菜にも含まれている安全なものです。虫歯菌の増殖や活性化も抑えてくれるので、歯科医院で販売している高濃度のフッ素入り歯磨き粉はおすすめです。

 

 

押村 侑希(おしむら ゆき)

医療法人OSHIMURA MEDICAL理事長/おしむら歯科こども矯正クリニック院長。自身が歯科矯正で苦労した経験から、オーストラリアでマウスピースを主体とした小児歯科矯正を学び、自院で導入。同院ではこれまでに1,000件以上の歯科矯正を実施している。

 

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