子育て中の不安や悩み、イライラから心と体をマインドフルネスで解放!

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 子育ては、喜びと楽しさに満ちたものですが、そんな中にも思い通りにならなかったり、不安を感じたり、悩んだり、イライラしてしまうのはみんなが感じることでしょう。そんな心と体をストレスから解放するために「マインドフルネス」が注目されています。その「マインドフルネス」を育児に活用していくにはどうしたら良いか?その方法と意義について、マインドフルネスのプロフェッショナルである渡辺清乃さんにお話を聞きました。

そのイライラや不安、あなただけじゃないですよ!

「うちの子はなんで泣き止んでくれないの?」「うちの子はなんでなかなか寝てくれないの?」「うちの子はなんでこんなに聞き分けがないの?」「うちの子はなんでこんなに乱暴なの?」「うちの子は…、うちの子は…」。

子育てをしていると、こんなイライラや不安をつい感じてしまうものです。子どもの思い通りにさせてあげたいけど、家事も早く済ませてしまいたい。それなのに、子どもにずっとつきっきりでやりたいことが思うように進まない。その状況にイライラしてつい子どもに当たってしまい、結果、自己嫌悪に陥ってしまう…。また、今はインターネットなどでたくさんの子育て情報が手に入る時代。情報がありすぎて、何が正しいのかわからなくなったり、「うちの子は普通じゃないんじゃないか」と余計な不安を感じてしまったり…。そんな悩みを抱えているのは、あなただけじゃないはずです。そして、それはむしろ真剣に育児に向き合っている証拠だと思います。

マインドフルな状態で楽しむ子どもとの時間

とはいえ、親のストレスマネージメントは、子どもの健やかな成長にとって、とても大切なことです。人はストレスが溜まると、忍耐力が落ち、衝動的に行動してしまいやすくなります。すると、子どもがしでかす同じ失敗や悪さでも、イライラしている時とゆったり余裕がある時で、全く違った対応をとってしまう、なんていうこともよくありますよね。そうした状態が長く続けば続くほど、子どもの情緒面や行動面に問題を抱えてしまうという研究結果もあるそうです。

子育てのイライラを解消し、より子育てを楽しむ手段の一つとして取り入れて欲しいのが「マインドフルネス」です。マインドフルネスとは、「今ここにいる」ことに気づき、理解し、受け入れることです。マインドフルな状態(=気づくこと)を毎日の生活に取り入れることで、ストレスでいっぱいになってしまった頭や心の中を、解き放ち、心をふっと軽く、楽にさせることを目的としています。

マインドフルネスとは…マインドフルネスとは、一言で言えば“心を整える技術”のこと。良いとか悪いとかの価値判断をせず“今”という時に集中し、そのありのままに気づくこと。1970年代に米・マサチューセッツ大学医学部名誉教授のジョン・カバットジン氏が開発した、仏教の禅の瞑想法から宗教色を抜いた教育プログラムのことです。本来ある潜在的な能力を活かし、自分の人生をうまくコントロールする新しい力を開発するための体系的な方法です。1979年に医療領域で初めて実施されて以来、欧米・オセアニアを中心に教育、ビジネス、スポーツ、司法など様々な領域で活用されています。

「考える」のではなく「感じる」

では、実際に、マインドフルネスをどのように子育てに生かしていけば良いのでしょう?

「子どもと過ごす瞬間に目を向け、集中することでマインドフルな状態になります。例えば、おいしそうにご飯を食べる子どもの顔、子どもと一緒に散歩をしながら眺める空の様子、さすった子どもの肌の状態…そんな日常にあふれているシーンに目を向け、頭で考えるのではなく、五感をフルに活用させて“感じること”それだけでいいんです」と渡辺さんは話します。そして、こう続けます。「それだけと言っても、難しいですよね(笑)。でも、本当に特別な何かをするわけではないんです。もふもふしたものを触って『柔らかいな、気持ちいいな』と感じたり、温かい飲み物を飲んで口から胃に流れ込んでいくのを『あったかいな』と感じたり、そういう日常の出来事に集中して受け入れる“トレーニング”をしていくことで、自然に「マインドフル」な状態に心を解放できるようになります。まずは、お子さんと一緒に呼吸してみましょう。「息をする時の表情は?」「体はどんな風に動く?」。体にもタッチしてみましょう。「温度は?」「柔らかさは?」「大きさは?」思考・五感でお子さんを、そして自分を存分に観察して感じてみてください。またマインドフルに「食べる」のも親子で行うのにぴったりです。食事のとき、静かに食べものをひと口分だけ口のなかに運び「どんな味がする?「香りは?」「歯ごたえ、歯触りは?」「舌はどんな感じ?」などお口のなかで起こっていることを感じながら、ゆっくり噛んで飲み込みます。終わったらお互いに感想を言い合ってみましょう。

子どもたちこそマインドフルネスのお手本

マインドフルネスは、呼吸の瞑想や食べる瞑想、人の話を聞く瞑想、書く瞑想…など、様々なプログラムがありますが、いずれにおいても決して評価や判断をしないことが基本です。しかし、私たちの世界は常に評価や判断にまみれています。「母親はこうあるべきだ」とか「男の子は、女の子はこうあるべきだ」とか、いつのまにか勝手にルールをつくり、そこから外れてしまうと「自分はダメだ」「この子はダメだ」とマイナス評価。自己肯定感がどんどん失われっていってしまいます。でも、実は本来、子どもはマインドフルな存在。目の前の物事に夢中になる天才である「小さな子どもたち」はマインドフルネスのお手本なのです。そんな子供の笑顔を見て、はしゃぐ声を聴きながら、自分の気持ちに集中してありのままを受け入れましょう。 子育ては、次から次にいろんな波がやってきます。そして、行く先もわからないまま、進んでいかなければなりません。そんな時こそ、ぜひ自分自身の「今の瞬間」に気づき、「今ここ」にとどまる、感じるということを実践してみてください。

子育てに息詰ったときこそ、思い出して欲しい

私たちは現実に不具合が生じたときに「何かを変えてみよう」「良くないところを直そう」とします。そんな風に感じた時には、ぜひマインドフルネスというアイデアを思い出してください。マインドフルネスの状態にする手段である「めい想」はもともと仏教の考えから発生したものです。四季折々変わりゆくものを感じ取る心や、華道や茶道、柔道、剣道などの道精神が自然と息づいている私たち日本人には、とても取り入れやすい手法だと思います。悩みと不安が一体化した時、私たちはどうにも立ち行かなくなります。マインドフルネスで心に少し隙間を空け自分を客観視することで、ずいぶん楽になるはずですよ。子どもは無心で“今”を生きている先生みたいなもの。そのお子さんとの時間をありのまま受け止めながら、毎日を楽しんでください。みなさんの輝かしい子育ての日々を応援しています!


 

 

★ PROFILE



渡辺清乃(わたなべ きよの):株式会社ホリスティック・キャリア代表取締役

キャリアコンサルタントの国家資格を持ち、研修講師やビジネスパーソンのキャリア支援を行うかたわら、羽黒山女山伏としての肩書も持つ。キャリアコンサルタントとして支援してきた人材の数は1万人超。マインドフルネスをはじめとする身体を通じた発達手法を取り入れつつ、ビジネスパーソンの「生命が躍動する生き方」をサポートしている。

渡辺清乃さん、初の対話型エッセイ… 羽黒山伏最高位「既修松聖」であるの星野文紘(ほしの・ふみひろ)さんと清乃さんが山の思想とビジネスの交差点に立ち、あれこれ感じたままに対話。なぜ今、山伏修行をするのか? 大人になって忘れてしまっていた「人間の本質」を思い出させてもらえる一冊です。ビジネスパーソンはもちろんパパやママにもぜひ読んでほしい一冊です。

◆ amazon  www.amazon.co.jp/dp/4820728970

◆試し読みはこちら 野性の力を取り戻せ – JMAM 日本能率協会マネジメントセンター 「人・組織・経営の変化」を支援するJMAMの書籍

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