子どもたちの味方!まるわか先生に聞いてみた!
[第2回]早めに相談して欲しい「子どもの低身長」

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「あれ?うちの子小さくないかな?」保育園や幼稚園に入って同じ歳頃の子どもたちのなかにいると急に気になったりしたことはありませんか。でもパパもママも小柄だし、高校で急に大きくなる子もいるし…背が低いのは仕方ないことだし…なんて思っていませんか。でもそう思う前に相談してください。治療ができる「低身長」かもしれません。

Q1. 「低身長」って?

低身長の定義としては、〝同じ性別、同じ誕生日月のお子さん100人が背の順で並んだときに、前から2〜3人目〟という基準があります。最近では3歳児健診で指摘されて受診いただく場合も多いです。また幼稚園や保育園での身長・体重の測定結果をアプリに入力して、「身長が低いかも」「最近、身長の伸びが悪い」と感じて受診されることも増えています。

5歳の誕生日に98cm以下の場合、治療適応になる可能性があります。100cmを超えていない場合は経過観察の対象になりますので、一度受診してください。小柄なことが気になる場合には、女の子で9歳、男の子で10歳には一度専門医による評価が必要と考えています。

Q2. 小柄な子どもは両親も小柄な場合が多い気がします…。遺伝するものでしょうか?

身長に影響する因子のなかで遺伝的な因子は影響が大きく、60〜80%ほどと言われています。遺伝するというより、体質的な要素(遺伝子)として両親から引き継ぐことで影響します。

Q3. どんな検査方法と治療方法がありますか?

まずお子さんの成長についての評価が大事です。 生まれた時の週数や体重、身長、分娩方法などについて  両親の身長や思春期の時期、兄弟の成長について 成長曲線の作成(これには母子手帳や小学校での健康手帳などが必要になります。)評価により必要と判断した場合、血液検査、尿検査や手のレントゲンなどを行なって、現在のお子さんの状態を評価していきます。

さらに詳しい検査が必要と判断した場合、染色体の検査や成長ホルモン分泌負荷試験などを行います。遺伝子検査や脳のMRI検査が必要な場合は、連携する総合病院にお願いすることもあります。

治療方法は低身長の原因に応じて決まります。亜鉛欠乏症という微量元素である亜鉛が不足している病態では、亜鉛の補充を内服で行います。また体重増加が影響して身長が伸び悩んでいる場合は、管理栄養士による栄養相談にて改善を目指します。

成長ホルモンが不足している場合や成長ホルモンが上手く体の中で働かない場合には、成長ホルモンという注射の治療が主なものになります。必要に応じてゴナドトロピン放出ホルモンアナログ製剤という注射薬の併用、蛋白同化ホルモン(飲み薬)を併用する場合があります。治療効果は導入した年齢や骨年齢の進行具合によって異なります。

Q4. 治療した場合、どの程度身長が伸びまますか?

5歳から6歳の1年間、5〜6cm伸びるところを8cmにできる場合があります。治療をする原因(成長ホルモンが足りないのか、効きにくい体質なのかなど)によって治療効果は変わります。治療をする時期によっても違います。

Q5. 中学や高校で急に身長が伸びる子がいます。それと見分けることはできますか。また低身長の治療を開始するのに、タイムリミットはありますか。最適な年齢はありますか?

成長を評価するために重要な成長曲線を作成し、専門医が評価を行うことで身長がいつ伸びるのか、それが早すぎるのか遅すぎるのかなどを見分けることが可能です。基本的に骨端線という骨と骨との間にある、のびしろの部分がどの程度残っているのかが重要になります。小柄なことが気になる場合には、女の子で9歳、男の子で10歳には一度専門医による評価が必要と考えています。

Q6. 低身長は発達に関係や影響がありますか?

体質性低身長といってホルモン(成長ホルモンや甲状腺ホルモンなど)やその他の原因がない場合は発達に影響することはありません。ただし低身長の程度が強いと、体格の問題で同年代のお子さんと比べて運動能力に差がついてしまう場合があります。

また成長ホルモンは脳の下垂体という部分から分泌されます。成長ホルモン分泌不全と診断された場合、その後に他の下垂体から分泌されるホルモンが不足してくる可能性があります。そのため、しっかり経過観察や血液検査で確認していくことが必要です。また不足の程度が強いと、運動機能への影響が出たり意欲や気力の低下につながる場合があります。

 

上西のびしろクリニック 院長 圓若かおり(まるわかかおり)

福井大学 医学部卒業後、名古屋市立西部医療センター 小児科、あいち小児保健医療総合センター 内分泌代謝科、日本赤十字社 愛知医療センター 名古屋第二病院に小児科医として勤務。2022年3月1日、春日井市に小児の低身長や思春期早発症、糖尿病、染色体疾患などの慢性疾患に特化したクリニック「上西のびしろクリニック」を開院。小児科医・3人の子どもを持つママの目線から、名古屋ベビータイムズで連載中。

[第1回]赤ちゃんの成長と母乳…はコチラ

 

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